問題解決というのは、デザイナーがいつもしていることですが、質問をし、再び考え直すと、していることを問い直してみるという事です。将来のためのデザインをいつも考える事です。今日の問題を解決するだけではないのです。例えば、材料や生産がよりよくなるにはどうするか、ということを考えなければなりません。
マイケル・ハートさんは、このパッケージのデザイナーですけれども、フランスに住んでいます。デザインの教授ですが、新しい解決として、学生とともにライフサイクル分析をすることにいたしました。こちらはジャガイモのパッケージの例です。これは先生の学生である、ノルウェーの学生がやったということですが、バイオニックス、バイオテクノロジーです。微生物を活用しています。パッケージされているジャガイモの寿命と同程度しかパッケージが保たないということです。ジャガイモは2ヶ月しか保たないのに、バッグは何百年も残るということはなくなるわけです。微生物を活用し、ジャガイモが食べられる期間だけ、袋もいきているということです。ジャガイモが食べられたあとは、袋は分解され、腐葉土となる、ということです。学生がこういうことまで考え、ライフサイクルまで考えてデザインをするということはいいことは、とてもエキサイティングです。今すぐにできなくとも、将来を見据え考えるということも必要です。ジャガイモの入れ物をつくった人はやがてバイオテクノロジーの研究者と協力して10年後には実現するかもしれません。
2年間をかけてデザイナーがサステナブルな仕事をするにはどうしたら良いかを追求してきたと申しました。
色々な方とお話してきました。そして、いろんなことを考えてきました。より具体的なデザイン。製品のデザインをしているインダストリアルデザイナーではなく、グラフィックデザイナーは、インダストリアルデザイナーとは異なった仕事をしている、建築デザインとも違う仕事をしている、それぞれ個別のデザインという領域もあります。
そして、デザインの仕事をするとき、アウトプットが何かだけを考えるのはますます無意味になってきていると思います。インダストリアルデザイナーと建築家とグラフィックデザイナー、みんなが一緒に仕事をする、一個一個の者が自己簡潔しない時代だと思います。ですから、デザインのそれぞれの位相に、ことなることを問われていると。
丁度今時期の去年ですが、東京に来ることがあり、去年のエコプロダクトの展覧会に行った訳です。日本語ができれば、ずいぶん違った楽しみがあったと思います。単にブースや製品をみて、勝手に自分で思いを巡らすだけでなく、いろいろお話ができるのは大変いいことだと思いますが、けれどもわたくし自身、ものをみる、人々がみているものを見る、あるいは、人々が見ている姿を見るというのも、私の仕事の一部だと思っております。いうまでもなく言葉がわからないということは、人が何かをみている、そして、次に、何かを見る、という、それぞれの理由は私には自明なわかではないわけです。何度もそうやってみていく、そして、目の前で展開しているストーリーと言うものに、想像力を逞しくして思いを馳せると。去年、丁度、ある学生さんというか、若い人が、私のもとにやってきて、翻訳を手伝ってくれる、という人だったのですが、大変面白い人でした。
ここで私が考えた事は、人々、素材、エンジニア、製品デザインの専門職の人、全部が修練してひとつのサステナブルな持続可能な何かを作ろうというわけです。これは、異なる立場の人があつまって、サステナブルな物語を語ろうということがあります。
多くの製品は将来を変える、あるいはより持続可能な社会に貢献するものであってほしいと思います。グラフィックデザイナー、視覚的なコミュニケーションを専門とする人であれば、その製品と、その素材、商品と素材ということを考えた時に、非常に重要なテーマがここにあります。建築ももちろんそうです。
セバスチャン・ゲリー二さん。アルゼンチンのブエノスアイレスを拠点にしているグラフィックデザイナーです。アルゼンチンにおいて、グラフィクデザインの関わることとして一番多いのは、印刷でしょう。印刷用の紙というものが重要です。しかしながら、デザイナーたちは作品や自分のメッセージを、そのようなリサイクルされた紙やリサイクル可能な紙で印刷を用いて伝えられているかというと、そんなことは簡単ではありません。というのは、費用が高いということがあるからです。
彼はデザイナーとして、その物語をしたいと。建築家とか、そのほかの人と彼は仕事をした訳ですけれども、エコロジカルな素材を使い作品を作りました。非常ににいいデザインです。そのときの素材の問題ということ、そのインパクトの重要性ということをよく知っています。
例えば、これは本です。建築の世界がもとになっておこなわれた展示会のカタログです。ここに登場する建築家たちは違う思想で、それぞれ想像して材料について考えてきている人たちです。左のものですが、理学的な感じがします。このままではやわらかい面白さを感じるものではないかもしれません。ただ、このような特色は、一体どういう場所だろうと、リサイクルステーションなわけです。このようにゴミを集める、集積する場所を示唆するわけです。そこにさらに、対になるかたちで、非常に具体的なこの世界で、いやでも目につくものをいうのを対置して使っています。建築の計画でも、実際の建造のプロセスに置いても,建築授業でありながら、他のビジュアルな視覚的なグラフィックデザイナーならではの表現も借り、建築意図というものをつたえる努力をしているという一例です。サステナブルなかたちでこういうものをやっていくというためのひとつの努力のありかたの例です。この業界自体をかえていければと希望をもってやっている仕事です。
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