(C) Rei Kubo

サステナビリティと文化のアイデンティティ

Chapter

1 水の問題をデザインする
2 サステナビリティで大事なこと
3 先住民のデザインをネットワークする、インディゴプロジェクト
4 オーストラリアの国旗とアイデンティティ
5 文化のアイデンティティの構築
6 一歩後退二歩前進

講演3

「サステナビリティと文化のアイデンティティ」

講師:Russell Kennedy(ラッセル・ケネディ)/モナシュ大学上級講師、国際グラフィックデザイ ン団体協議会 (Icograda) 次期会長

司会:ケネディさんはモナシュ大学の講師でいらっしゃいまして、国際グラフィックデザイナー団体協議会(icograda)の次期会長に決まっておられます。デザインに土地の独自性を付与するものはなんであるか、またそれが作られた場所とターゲットとする人々の関係性を探る、地域に根ざすデザインネットワークの設立にご尽力なさってその活動に取り組んでおられます。

皆さんこんにちは。今日はいくつか取り上げたいテーマがあります。文化のアイデンティティとサステナビリティとの関係、そしてそれがどんな影響をもたらすかということについてお話したいと思います。
最初のスライドです。サステナビリティと文化のアイデンティティについてですが、「過去から学び将来見据えて行動する」ということです。

1 持続可能なデザインの旅

アスペンデザインチャレンジ(Aspen Design Challenge)をご存知ですか?国際的なデザインコンペですが、デンマークのインデクス(INDEX)と、米国のグラフィックデザイン協会(AIGA)が一緒にやっています。コンペの結果発表は、たしか来年の2月だと思いますが、12月15日の締め切りが近づいております。Webサイトにて皆様のエントリーを紹介しています。
「Designing Water’s Future」というテーマですが、水の問題について未来を見据えてデザインしていくこと、つまり、水にまつわる問題を発見し、解決策を見出していくということです。それは単に、将来、水がどのくらい確保できるかという量の問題だけでなく、質の問題も含まれます。

こちらはモナシュ大学の研究成果です。科学の分野ですが、新しい方法で水を水素と酸素に分離することに成功しています。自然界における光合成の原理を利用しています。結果、水素燃料をより効率的に生成でき、その際、CO2をまったく生成することがないという点で新しい技術です。現在のエネルギー効率は約1%ですが、研究を継続することよって10%ぐらいまで上げることを目指しています。この研究成果は様々なwebサイトで報道されています。

こちらは水素を燃料として使う自動車のデザインです。こういった車を開発する場合、水素燃料で車を走らせるという技術的な解決だけでなく、水滴をイメージさせる美しいフォルムなども必要になります。このプロジェクトのスポンサーは日産ですが、奨励金を出すことで、プロトタイプの生産を支援しています。

こちらは、生活者が自宅と駅の往復に使用する自動車です。多くの人が駅に自家用車を乗り捨てていますが、その習慣を変えるデザイン提案です。一人乗りの水素燃料で走行する車です。クレジットカードのようなものを使って短期間レンタルできるシステムです。国によっては空港の荷物カートが有料でこういうシステムになっておりますが、同じ発想と言えます。

こちらも水素自動車ですが、後部ハッチから荷台が出てきて、そこで物品の販売ができ、屋台のように使うことができます。中国の学生がデザインしたものです。

こちらは自然の循環プロセスを用いて水質を改善しいていく事例です。葦を使っています。家庭からの排水を使うので、建築構造物として利用できるものが必要とされています。ご覧頂いている通り、構造物はタンクです。このタンクはつなぎ合わせることができるので、壁面やデッキを構築できます。

こちらは野菜を、例えばマンションの屋上などの非常に狭い所で栽培する、都市型の野菜栽培システムです。水の供給システムを考えているわけですが、ゴムのマットによって雨水が収集されるとともに、水の蒸発や土壌温度の低下を防ぐものです。これはビクトリア州において受賞したプロジェクトです。こちらはゴムのマットの代わりに、ビニールシートをかぶせたブランケットを用いたモデルです。

こちらも節水のプロジェクトです。オーストラリアにおいては、農場が広大なので場所によって気象条件が異なります。また、作物によって必要な水量が異なります。このシステムは管理装置を農場内各地に埋めて、それぞれどの程度の水が必要かコンピュータで解析し、必要なところに必要な量を散水します。また、気象庁の天気予報とも連動しておりまして、雨の予報が出たら自動的に散水をやめて、逆に晴天が続くようなら散水します。農家の方はコンピュータの前で農場全体を管理できます。マイクロソフトの「imagine cup 2008」において受賞しています。私達が非常に誇りに思っているプロジェクトです。

こちらは水の容器のデザインです。ペットボトルで水を飲むことがここ20年間、はやりのように普及していますが、ペットボトルの廃棄が大きな問題を引き起こしております。1?サイズのペットボトルを製造するのに3?の水を使わなくてはなりません。様々な環境問題があります。しかし、ペットボトル飲料水の質は、水道水とあまり変わりません。この容器をデザインした学生は伝統的なガラスのビンであれば再利用できるのではないかと考え、ビンの生産から廃棄までをデザイン表現するとともに、ペットボトルがいかに問題であるかということをビンの後ろに記載しています。こちらは様々な水の統計を「最後の一滴」というテーマで記載した冊子です。百科事典のように使えます。オンラインで無償入手できます。

出典:ラッセル・ケネディ氏講演パワーポイント
出典:ラッセル・ケネディ氏講演パワーポイント
出典:ラッセル・ケネディ氏講演パワーポイント

2 サステナビリティで大事なこと

ところで、「サステナビリティ(持続可能性)」は決して新しい言葉ではありません。最も大事なことは、「文化のアイデンティティ」の構築であると思っています。その中でのサステナビリティは重要で、特に土地古来の文化において大事であると思います。土地古来の文化というのは持続可能な形で何千年にもわたって、ある地域で引き継がれてきました。「サステナビリティ」は新しい現象、新しい問題のように思われるかもしれませんが、歴史を紐解くとことで様々な解決策を見つけることができます。

国際若手デザイナーワークショップ2008のテーマである「デザインDNAでルーツを探る」(参考:http://www.idcn.jp/workshop/)という新しい概念があります。このことに関しては明日、他の講演者がもう少し詳しく説明してくれると思います。

地域それぞれの特色を尊重し、大切にすることが「文化のアイデンティ」であると考えます。

テレビCMの映像を見ていただきたいと思います。オーストラリアの観光局が作ったものです。ここでは土地古来の文化を前面に出していますが、物珍しい文化人類学的なことを表現するのではなく、土地古来の精神的な側面、なぜオーストラリアに人が集まったのか、ということを表現しています。

このCMは、ニコール・キッドマンとヒュー・ジャックマン主演の「オーストラリア」という映画を撮った、バズ・ラーマン監督が制作しています。

オープニングはニューヨークですが、うるさい雑踏から逃れて、土地や先住民、土地古来の精神に触れようというメッセージCMです。時には困難に立ち向かうことで、自分をみつめられます。ストーリーの中で水が先住民とともに大変重要なキーワードになります。少年が砂漠に送りこまれ、茂みに一人分け入って、一年間持続可能な生活を送ります。戻ってくると少年は大人に成長していた。持続可能な生活を一人でも十分学ぶことができるということです。自然の中で狩猟を行い、様々なことを学ぶわけです。

(CM映像)

3 先住民のデザインをネットワークする、
インディゴプロジェクト

こちらは私どもが手がけているインディゴというプロジェクトです。国際グラフィックデザイナー団体協議会を通して行っています。世界各国の先住民のデザインをネットワーク化するプロジェクトです。世界中どこの大陸でも先住民がいます。先ほど通訳の方に伺ったのですが、日本にはアイヌの方が先住民として暮らしておられる、また沖縄においてもそうだということですね。こういった先住民の文化を繋げていきます。インディゴという染色です。先住民のインディアンの人達が使っていた染色であります。

こちらはある展示会のために私がデザインしたものです。テーマは文化の多様性です。このお面は香港で買って、結局ガラクタと一緒にガレージに収まってしまったものですが、この展示会で使ってみようと思いました。香港にもディズニーランドがあるということを聞いた時、違和感がありましたので、お面を使ってインパクトある表現ができるのではないか、と考えました。このお面は伝統的な中国の文化であり、子どもにおとぎ話を聞かせるといった文化に根ざしている物であります。ディズニーランドは悪いものではないのですが、ディズニーランドのインパクトが、例えば、中国の子どもたちにどのような影響をもたらすのか、そしてマイナスの影響も見られるということで、文化においての「Dismay」(狼狽)と描いています。「クラブのリーダーは誰だ」ということがかいてありますけれども「文化のアイデンティティを描き出すリーダーは誰だ」と読み替えることができます。

ここからは、いくつかオーストラリアのデザインを見ていただきたいと思います。オーストラリアグラフィックデザイン賞(ADGA)において何年か前に受賞した作品です。なぜ見ていただきたいのかといいますと、どれも美しいデザインですし、受賞したのも当然ですが、オーストラリアの「文化のアイデンティティ」を必ずしも反映しているとは言えません。日本でもヨーロッパでも同じデザインができる気がします。私が主張しているのはアボリジニ(先住民)のアイデンティティのことをいっているのですが、言い換えればグローバル化の影響があり、国際的に受けのいいデザインをしているように見受けられます。それが良いのか悪いのかよくわかりませんが、少なくとも文化の差異が興味深いわけで、似通ってしまったら面白くないわけです。そして、私どもとしてはいつも意識してそれをとりあげていく必要があると思います。

出典:ラッセル・ケネディ氏講演パワーポイント

4 オーストラリアの国旗とアイデンティティ

これからお話するのは、私達が掲げたビジョンについてです。私が手がけている仕事ですが、先住民の文化を国のアイデンティとして表明しています。具体的にはオーストラリアの国旗のデザインワークです。

皆さんエド・フェラーさん(Edward Fella)をご存知でしょうか。アメリカ人で、カルフォルニア在住のデザイナーでありイラストレーターです。オーストラリアに招待して、三か月滞在されました。彼は、オーストラリアと米国には「類似の相違性と相違の類似性がある」と言いました。

これが現在のオーストラリアの国旗です。ここで支配的な影響というのは、言うまでも無くユニオンジャックです。実は国旗ではなく植民地時代からの旗だったのです。祖始国である英国の国旗があって、この地域のシンボルとして星が描かれています。実際今のオーストラリアは、どちらかというと英国よりも米国に影響を受けていますので、グラフィック化するなら米国の国旗を掲げた方がいいのかもしれません。しかし、私たちとしては独自のアイデンティティを創出し、今までのブランドから脱却して、新しい国旗をブランドとして再構築したいと考えています。

例えばインドは植民地時代のものから現在の国旗に変更しています。カナダにおいても1965年に変更しています。南アフリカや香港は最近変えました。そしてニュージーランドも現在国旗を変えようとしており、こういう国旗になるかもしれません。

そしてオーストラリアは、私がデザインしたものでありますが、願わくはこういう国旗になればいいと思っています。その国を支えるアイデンティティを考えれば、私どもは英連邦の国でありますが、それぞれの国において国旗があるべきです。植民地時代から引き継いでいますので、なぜ変える必要があるのか、と思う人がいるかもしれません。ハロルド・トマスというデザイナーがいったことですが、現在のオーストラリア国旗は結構カッコイイのですが、先住民としては気分がよくない。というのは英国の国旗は侵略を意味します。しかしユニオンジャックの部分をなくすとユニークさが足りない。そもそも南十字星はオーストラリア以外でも見られるので、古典的なシンボルであるカンガルーを使ったらどうかと考え、シンプルにデザイン化しました。カンガルーが飛躍するイメージを表現しています。先住民に調査をしたところ色が気に入らないという意見がありました。それならば先住民の国旗と同じ色にしたところ、結構さまになったと思います。先住民の方々は好きだといったわけですが、オーストラリア全体を考えるとちょっと先住民色が強すぎるということで、再度色の変更をしました。こちらは多くの人に受け入れられているようです。

国旗のデザイン過程で発見したことは先住民の問題とともに、先住民ではない人もオーストラリア人であるということです。オーストラリアは多文化で多様な人々が住んでいます。もともとは英連邦の前に英国の植民地だったわけですが、様々な移民が、ヨーロッパやアジア、アフリカから流入してきました。ですからこのイメージが文化をよりよく表していると思います。

こちらは、先住民のアーティストのよる作品です。先住民アーティストは少数ですが、世界の文化をみてもアートとしては最も古いものの一つで、4万年前から引き継がれたものです。ペンで描かれた作品です。

こちらは作家ジャーメーン・グリーア(Germaine Greer)のコメントですが、「先住民を受け入れることはオーストラリアが国として立脚する唯一の方法である。」というメッセージはなかなか面白いと思います。

こちらの紙幣は、ゴードン・アンドリュース(Gordon Andrews)という人のデザインですが、先住民の芸術を相談なく模倣したということで、当時批判されました。アパルトヘイト的な考えを持つ先住民の人達が、こんなものは使えないと拒否していたものです。

こちらはデビット・ランケッシャー(David Lancashire)の作品ですが、先住民の芸術表現うまく行っている数少ない事例です。長年に渡ってこういう作品を作っていますが、先住民的表現を偏見なく使っています。彼は19歳の時に英国から来ましたが、新しく流入してくる人の方がかえってオーストラリアの土着文化を正確に捉えているように思います。

こちらは先住民の旗です。ハロルド・トマス(Harold Thomas)がデザインしました。こちらは南アフリカの国旗ですが、フレッド・バンウェル(Fred Brownell)がいわば和解の旗としてデザインしたものです。

こちらは古い国旗ですが、新しい国旗のデザインは2つの緑のラインが収束して一つになったことを表現しています。オーストラリアでも和解の旗は先住民の旗として、例えば高校などでも掲げて受け入れられています。

キャシー・フリーマン(Cathy Freeman)という陸上選手は、この国旗の問題を顕示し、解決に向けて行動しています。彼女の素晴らしい業績として、イギリス連邦の陸上競技大会において金メダルを取った際に、一つの旗だけじゃ嫌だということで、オーストラリアの国旗と先住民の旗を両方掲げたのです。多くの人達向けて、オーストラリアは二つの旗が存在することを顕示しました。2000年のオリンピックで金メダルを取った時も同じでした。彼女は二つの旗を結びつけたのでとてもシンボリックだったと思います。先住民の旗とオーストラリアの国旗を結びつける和解の旗という意味です。現在のオーストラリアの国旗からデザイン要素を抽出し、色は先住民の旗から引用すると、和解の旗が生まれるかもしれません。また、和解の旗の色を現在のオーストラリア国旗と同じにすることで、新しい国旗が生まれるかもしれません。国旗をデザインするというのはつまり、ビックブランドをデザインすることです。

こちらは私どものモナシュ大学です。モナシュのデザイン棟でギャラリーもあります。2000年シドニーのオリンピックと2006年メルボルンコモンウェルスゲームズのデザインワークを展示してもらいました。

これが2000年シドニーオリンピック、こちらは2006年メルボルンのデザインワークです。私たちの研究成果である2大会のデザインワークを振り帰って、カラーリングが大変重要であることが分かります。シドニーオリンピックの時は非常に多くの研究を行いました。オーストラリアの色とは何か、ということを見つけようと努力しました。そして私のデザインを採用頂きました。

これらもデザインワークの事例ですが、多くの準備をしたことをお分かりいただけると思います。最終的にうまくいったと思います。シドニーオリンピック時の研究において、オーストラリアは日本と同じ島国であり、水に囲まれていますので、海を表現するブルーが大変重要であることが分かりました。そして黄色というのはシンボリックな色彩としてうまくいったように思います。太陽やビーチを表現する色ですし、先住民の旗にも使われていますので、黄色を効果的に用いました。

こちらはシドニーオリンピックのデザイン・アイデンティティマニュアルです。

こちらはデュフィーワールドワイド(Duffy Worldwide)のデザインワークです。バハマ諸島のカラーデザインですが、一つのデザインをベースにバハマ諸島のそれぞれの色を文化の多様性を表現しているわけです。

同じように新しいオーストラリア国旗のデザインでも考えました。州によって色を使い分けています。ニューサウスウエールズ、クイーンズランド、南オーストラリア、タスマニア、ビクトリア、それぞれの色を使いました。デザインは統一し、色で多様性を表現することを考えたわけです。そういったカラー展開を、例えば空軍、海軍、ライフセーバーなどにも使いました。

出典:ラッセル・ケネディ氏講演パワーポイント
出典:ラッセル・ケネディ氏講演パワーポイント
出典:ラッセル・ケネディ氏講演パワーポイント

5 文化のアイデンティティの構築

こちらはインディゴというプロジェクトですが、地域に根ざしたデザインネットワークを構築するためにwebサイトを開設しました。このwebサイトは未来のブランド構築(文化のアイデンティティの確立)を目指しています。なぜこれが大事かということをこれからお話します。webサイトの背景イメージはインディゴのサポーターの作品です。南アフリカや韓国の作家もいます。これはうちの大学です。様々な作品がワークショップによって生み出されました。先住民との交流や地域に根ざしたデザインを目指しています。

誰がインディゴを必要としてするのでしょうか。先住民とか政府、コミュニケーションデザイナー、ブランドエージェンシー、広告代理店、それから建築家、工業デザイナー、皆地域に根ざした文化を必要としているわけです。

こちらは国際グラフィックデザイン団体協議会(icograda)のデザインワークです。これまで使われてきた制度的なロゴ・マークを革新したプロジェクトです。新しいデザインは地元先住民の土着性に合うのではないかと考えています。制作にあたっては先住民のグループの人たちも参加をしています。

文化のアイデンティティを構築するための適切なデザインを行うために、グラフィックデザインのアドバイザー機能を強化したわけですが、それがインディゴプロジェクトです。インディゴプロジェクトは地域に根ざしたネットワークの構築を目的に、将来のブランドづくりを行っています。毎年実践しており、世界各国、各地のブランディングを行っています。オーストラリアにおいては、数多くの成功事例があります。こちらは第二回、第三回のプロジェクトです。他にもカナダ、アメリカ、イタリア、スイスで実践していますけれども、オーストラリアは国際的に見ても意識が高い国と言えるかもしれません。そして多くの人の注目を集めているのではないかと思います。ブランディングを求めている国にとっては興味深い国だと思います。そういったことを考えると、インディゴというのは大変重要な組織といえるでしょう。先住民や地域に基づいた国のブランドを決める基準になります。こちらはメキシコのブランディング事例です。

6 一歩後退二歩前進

こちらは私たちが始めたミックスオーエイト(Mix08)というワークショップです。一種のコンペみたいなものです。2006年にも行いました。モナシュ大学とハートレット大学、コネチカット大学が協力しています。こちらはポスターですが、二つのワークショップを示しています。展示会も行いました。「一歩後退二歩前進」というスローガンを掲げていますが、持続可能性の考え方に則ったものです。こちらは、コネチカット大学の学生たち、先生方、こちらは国際グラフィックデザイナー団体協議会の前会長です。

この建築の装飾には先住民のアイコンが使われています。コネチカット州にある研究センターですが、非常に装飾的です。偶然ですが私もこのプロジェクトに参加していました。オリジナルアートで装飾しています。

こちらは南アフリカの国旗ですが、イメージを革新しています。また、こちらは先住民のイメージを示しています。国旗だけでなく、紋章や公共のシンボルも変えています。国際グラフィックデザイナー団体協議会(icograda)は先住民とそうでない人々の文化の混成を試みました。これは南アフリカにおける多文化の象徴的デザインです。持続可能性とはこういうことが大事であると考えます。国はそれぞれ地域に根ざした先住民の文化を持っています。しかし現在、これが失われつつあるのが問題であります。従ってこれを尊重して扱わなければならないと考えます。それぞれの国で意識を変えていくことが必要なわけです。これはオーストラリアの問題だけでなく、世界的にいえることです。

こちらは展示のために作られたポスターです。オーストラリアとアメリカでも展示しました。こちらはwebサイトからとったものです。こちらは色々な仕事を示すための木です。こちらはメルボルンでの展示会、モナシュ大学でやりました。ワイヤン・ペーターズさんがきてくれました。こちらはランカシャーでおこなったものです。これについては先ほどお話をしました。こちらはコネチカットで行った展示です。こちらはペーターズさんです、彼のwebサイトを拝見していると大変面白いです。

こちらは私の大好きな作品の一つです。このデザインをしたのはアジアの学生です、マレーシア人です。彼の作品テーマはアジアを表現することです。お寿司をのせる皿が二色で塗られていますね。それからお箸や、トマトソースともう一つは醤油が入った小皿があります。真ん中にあるのはなんだと思いますか?オーストラリアのミートパイです。これらはオーストラリアの先住民族であるアボリジニの旗を表現しています。マスタードやトマトソースなどを効果的に使って、アボリジニに対する残虐行為などを表現しています。残虐行為は過去のものとして、よりよい解決を行っています。

これらはデザインの学生とアボリジニのコンサルタントによって作られたものです。先住民のイメージ表現するために、それぞれの学生にアボリジニのコンサルタントをつけて、アドバイスを得ながらデザインしました。こちらは有名なアボリジニシェルターです。アボリジニの人たちは貧しいところに住んでいたということを、折った形で表現しています。こちらは、シドニーやメルボルン、タスマニアに住んでいる学生の作品ですが、オーストラリアに昔生えていた木を象徴的に表現しています。こちらはアメリカの学生の作品で、アメリカの先住民の話が書いてある書籍に赤でバツをしていますが、当時は理解できなかったことが今理解できたのでバツをしています。こちらもアメリカの学生の作品ですがインディアンのフィギュアを作っています。こちらはお酒の広告のパロディーで、アルコールの影響とアメリカの先住民がおかれている問題を表現しています。

先程お話ししました通り、インディゴは地域に根ざすデザインネットワークですが、他の展示をご紹介します。

こちらは国際グラフィックデザイン団体協議会のニューアフリカというデザインワークです。コペンハーゲンで展示をしました。文化のアイデンティティをテーマにしています。

こちらは伝統的なものにインスピレーションを受けてデザインされたものです。グラフィックデザインや磁器、ファッションデザインなどです。

こちらは、都市のブランディングの事例ですが、メルボルンがどのように世界に対して自己アピールしているかを映像でご覧いただきたいと思います。メルボルンは、皆さんがオーストラリアに対して思い描く都市とは異なると思います。メルボルンはオーストラリアというよりむしろ、ヨーロッパ的であると思われるかもしれません。

(映像の音)

一本の紐をあなたは伸ばしたいだけ伸ばすことができる、メルボルンはあなたが望むことを叶える都市である、と表現しているわけです。しかしながら、これは先住民の文化を反映しているとは言えません。先住民はあまりメルボルンには住んでいないのですね、北西部地域に住んでいるのです。

次にお見せする映像の方が皆さんがよくご存じのオーストラリア的イメージかもしれません。

(映像の音)

四万年前から先住民たちはリハーサルをしてきた、というメッセージでしたが、私たちはオーストラリアの文化をこのように見てきたのだと思います。シドニーオリンピックでは、キャシー・フリーマンさんが金メダルをとってアピールしています。オーストラリアの人たちはアボリジニの人たちは博物館にいるわけではないことを理解しています。インディゴも先住民を統合、統合という言葉は不適切かもしれませんが、私たちのアイデンティティを代表してくれているのだと考えています。

次の映像は、最初に見たものと似ているんですけれども、舞台は上海です。それではご覧ください。若い少年が主人公です。

(映像の音)

以上で終わります。ありがとうございました。

出典:ラッセル・ケネディ氏講演パワーポイント

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