質問3:日本でサステナブルというと悲壮感が漂ってしまうのですが、欧米の方はそこに悲壮感というよりも、それを楽しんでいくような、心構えが感じられます。日本人と欧米の方と根本的に考え方の違いがあるかとも思うのですが、どうやったら楽しめるような視点を持てるのかということを外国からいらした皆さまにお聞きしたいです。
アアリス・シェリン氏:大変興味深い視点ですね。持続可能性が国によって考えかたが違い、アプローチをも違うということですね。私もいろいろな外国にいきますと、サステナビリティを動かしている人が国によって違うということを感じます。
悲壮感を持たず前向きに考えるかですが、アメリカでは、私たちは希望を持っていると思います。サステナビリティへの取り組みが、今、始まったばかりだからだと思います。進んでいるとはいえませんし、第一線にいるのは他の国の皆さんだと思います。私たちよりもずっと前に進んでいる皆さんが沢山おります。
サステナビリティのプロジェクトにずっと関わっていると、いかにこのプロジェクトが大きいことかということに気がつくと思うのです。でも、毎日の仕事において、ほんの少しでも一歩前進するということが大事だと思います。アメリカでは私に希望を持たせてくれるのは大学の学生たちが、私の予想を超えて、このテーマを前向きに捉えているということなんです。彼らはこのことを大事に考えています。私たちとしては、これからも次の世代への種を植えていきたいと考えているのです。私たちだけでなく、よりよい将来を持つためにもがんばっていきたいと考えています。
トム・ジョンソン氏:私はアメリカに住んでおり、アメリカに対する私なりの見方がありますけれども、その見方は、アメリカ人以外の見方とまったく違うと思います。同じように、質問者ご自身の日本という国についてですが、日本はサステナビリティに関心をもち、歴史も長く実績があると思います。その中において、悲壮感どころか、もっと将来のことを期待してもいいのではと思います。私がインターネットを見ているとき、面白いと思うことの中に、日本発というものが結構多いのです。
日本という国がそのただ中にいるが故に、いかに自分たちが他の国に対して影響が大きいか、いかに日本がリーダーであるか、ということがわかっておられないではと思います。そのただ中におられるので、ご自身が見えないのかもしれません。
今日、ここで素晴らしいことを日本でなさっていることにも、私は非常に興奮を覚え、ここで見聞きしていることは大変楽しいです。多いに胸をはっていただきたいと思います。
ラッセル・ケネディ氏:一点、付け加えさせていただくのは、日本に対するイメージは2つあります。東京のような大都市、そして、伝統的な日本文化です。日本に来てから多くの寺院にいっておりますが、そういったところを訪れると、いかに和を大事にしているか、伝統的に和を尊んでいる国かということを感じます。和を尊び、人が自然と建築、庭、庭と住居との関係、バランスと調和などの日本の文化です。もうすでにあるじゃないですか。そういう事例がまわりにあります。調和を楽しむ事。後ろを振り返ることで前進できることもあるのではないでしょうか。
星川淳氏:今の質問の件ですが、悲壮感というのは仕方がないと思うんです。現場を知ったら、それは悲惨なことが沢山、世界中にあるわけです。人間的な要素も、自然の要素も。でもそれを、デザイナーとしては、その悲壮感の現場も踏まえながら、どうやってクリエイティブに解決してゆくか。創造性というのは、宇宙の持っている根本的な力、ドライブだと思うのです。いかに創造的にソリューションを見つけていくかということが仕事だと思います。それはわくわくする作業だと思います。
日本の希望としては、日本人とあまり一括りにできないですが、何か一つの方向性、これが大事だということが共通の認識になると、ものすごい力を発揮すると思うんです。
今はまだそれが、散らばっていて暗中模索な状態だと思いますが、もう少し状況が、ひとつの方向が見えてくると、クリエイティブになっていくしかないと。日本人の持っている力、繊細で洗練していく能力を持っていると思いますので、そこは世界に貢献できる事だと思います。
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