プレゼンテーション内容
島村卓実さん(有限会社クルツ代表取締役)
島村さんは、高知県に間伐材を薄くスライスして3次元加工できる技術がある村がありまして、その技術に対して地域差や素材を発見し、それをかばん(生活雑貨)という形をとり率先してデザインしておられます。また新しい産業自体をつくっていく時に、大事にしていることはシンプルなものづくりでシンプルに進めることであるという内容でした。
サリ・ササキさん(FCIリサーチ主宰)
サリ・ササキさんは国連のユネスコ本部で働いていた経験がおありで、パリでの生活や、多様な活動からお話をしていただきました。パリは街全体が100年くらい変わっておらず、街やサービスシステム、生活なども大きな変化がないという強いアイデンティをもつ街です。パリに見るように、今ある資産に注目して新しい価値をつくったり楽しんだりすることに多いに役立つのはデザインの知恵ではないだろうかというお話でした。
アンドレアス・シュナイダーさん(情報デザインアソシエイツ)
シュナイダーさんはドイツの方ですが長く日本に住んでおられ、情報デザインの分野で活動されている方です。2010年にインドで大きなワークショップに使う素材を用いて話をしていただきました。欧米にはない日本人特有の心配りや優しさ、日本人に対するシンパシーを感じ、それらを見直す必要があるという内容でした。
青木史郎さん(財団法人日本産業デザイン振興会)
青木さんからは、日本のデザインは約60年間、欧米からの求めに応じ求められるままにものを作ってきたことで、驚くべき進化を遂げてきました。90年代に入ってからはエコロジーなものづくり(省資源、省エネルギー、システム開発)を積極的にやってきましたが、もともとデザインは外圧や規制を守らなければ売れないため、エコデザインもその規制の中でものづくりをしてきました。これからもそういったやり方は必要ではありますが、産業をデザインが牽引し、新しい産業を構築していく形をとっていかなければならないだろうというお話をしていただきました。
私もGマークの仕事を10年以上やっていますが、この10年で大きく変化したことは、デザイン発のプロジェクトやデザインがイニシアチブを取って進めるものづくり、プロジェクトが増えたことです。Gマークは年間約3,000件のエントリーがありますが、そのうちプロジェクト的なものが100件を超えてエントリーされるようになりました。そういった活動分野にデザインが力を発揮出来る状況になってきていますし、もっとやっていかなければならないと思います。